〈姿勢の安定性〉
バランスのとれた平衡状態を維持しようとする性質が安定性です。重力の影響下で人間が立位姿勢や坐位姿勢を保持するときには、次のような複数の要因が安定性に影響しています。
・質量
物体は質量が大きいほど安定性は高まります。特に外力に抵抗するには質量が大きいほうが有利です。しかし、体重が重ければ良いかというと、それは別問題です。姿勢を安定させるために相撲取りになるわけにはいきません。
・摩擦
床と接触している面の摩擦抵抗が大きいほど安定性は高まります。氷の上に裸足で立つと安定性が悪くなることは容易に想像できるでしょう。普段から靴選びなどにも注意する必要があります。
・重心の高さ
重心の位置が低いほど安定性は高まります。立位よりも坐位、坐位よりも臥位のほうが重心の位置は低くなるため、安定性は良くなります。
・支持基底面の広さ
支持基底面とは、両足で立位を保持しているときの両足底およびその間の部分を合計した面積です。
支持基底面が広いほど安定性は良くなります。両足を密着させた立位より、両足を離した立位のほうが安定性は良く、杖を使用するとさらに支持基底面は広くなり安定します。