今回は変形性関節症に対するPRP治療が有効であったという論文と効果がなかったという論文についてご紹介します。

臨床診断・治療において参考にされることの多い、米国医師会が発行する臨床雑誌(JAMA;Journal of American Medical Association)において変形性足関節症(足首の関節軟骨がすり減った状態)に対してPRP治療はあまり効果がなかったという結果が掲載されました(2021年10月号1595-1605ページ)。この研究ではPRPもしくはプラセボ(生理食塩水)の足関節注射を行い痛みと機能の評価を行い、両群間に有効な差がみられなかったと報告しています。

一方膝関節などの関節鏡手術専門雑誌(Arthroscopy)では変形性膝関節症の治療において、現在もよく行われているヒアルロン酸やステロイドの膝関節関節注射と比較して、PRP治療は患者さんの疼痛をより軽減し膝関節のさらに良好な機能改善効果が認められたという論文が掲載されました(2021年8月号Online)。これまでもPRP治療有効であるという報告は多数ありますが、この論文は現在まで刊行されている研究論文を取りまとめて評価しており、保存治療としてのPRP治療がやはり注目されていると感じました。

当院では2020年5月よりPRP治療を導入していますのでもうすぐ導入2年になります。のべ50人以上の方にPRP治療をおこなってきましたが、PRP治療のおかげで痛みがすっかりなくなったという方から少しは楽になったかな?という方々まで千差万別ですが、私見としましては保存治療の一つの手段として考えて良いと考えています。