骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは、骨の組織が「鬆(ス)」が入ったようにスカスカになってもろくなり、軽い力が加わっただけでも骨折しやすくなった状態のことです。
国内には2015年の時点で約1,300万人の患者がいると推定されていました。高齢化社会の進む我が国ではその人口はさらに増加していると考えられます。気づかぬうちに徐々に進行しますが、普段は痛みなどの症状はありません。
しかし、転ぶなどのちょっとしたはずみで手首(前腕骨遠位部骨折)や背骨(椎体骨折)、太もものつけ根(大腿骨近位部骨折)、肩(上腕骨近位部骨折)などを骨折しやすくなります。椎体骨折では腰痛や背部痛が起こり、姿勢が悪くなったり身長が縮んだりすることもあります。姿勢が悪くなると、内臓への悪い影響(胸やけなど)も出ることがあります。また太もものつけ根を骨折すると、入院・手術が必要となり、寝たきりになってしまう可能性もあります。
骨粗鬆症は早期発見と、薬による早期治療・予防が大切な病気です。当院では最新の測定機器である「DEXA法」で検査を行い、個人個人の骨折危険因子と現状を的確に評価し骨粗鬆症の予防と治療に努めております。
女性は50歳以上になったら一度検査を
骨粗鬆症は症状の何もない病気ですが、徐々に骨がスカスカになっていき、最終的に骨折してしまう怖い病気です。患者さんの80%以上が女性といわれています。女性の場合、閉経によって女性ホルモンのエストロゲンが低下し、その影響で骨がもろくなってしまうのです。よって、50歳になる前に一度検査を受けることをお薦めします。
また、その他の原因として、無理なダイエットや偏食による栄養バランスの偏り、喫煙や過度の飲酒などがあります。
健康寿命を伸ばすため骨粗鬆症の治療が重要です
日本では平均寿命が男性80歳、女性87歳という、これまでにない平均寿命の伸びを見せており、単に寿命というよりも、健康寿命・健康長寿の重要性が認識されるようになってきました。日本人の身体機能、高齢者の元気さは10歳くらい若返っていて、10年前の65歳が現在の76歳とおなじくらいというデータも示されるなど、国民全体としては大変元気になってきています。
一方、高齢人口の増加に伴い要介護、要支援、あるいは寝たきりの方が増えてきていることも事実です。平成28年版高齢社会白書によると、介護が必要になった主な原因のトップ5は脳血管疾患、認知症、高齢による衰弱、骨折・転倒、そして関節疾患があり、骨折は患者さんの予後に悪影響を与えます。
高齢者の割合が国民の27%を超え、骨粗鬆症の患者さんが増える中、高血圧や胃がんのことはわかっても、まだまだ骨粗鬆症のことが十分に周知されていない、あるいは知識が少ない現場の状況があります。
骨粗鬆症の検査
骨粗鬆症の検査として、骨密度検査、骨代謝マーカー検査、X線検査、身長測定などがあります。
骨密度検査
骨密度検査とは骨にあるカルシウムやミネラルがどの程度あるか測定する検査です。
当院ではDEXA法による最新の骨密度測定装置を設置しております。従来の様に手の骨で測定するのではなく、骨折しやすい腰の骨と大腿骨の骨を直接測定することができます。
骨代謝マーカーの検査
骨は骨の形を保つため、常に古い骨を溶かし(骨吸収)、新しい骨をつくっています(骨形成)。この骨吸収と骨形成のバランスをチェックする指標が骨代謝マーカーです。また、骨粗鬆症薬を飲み続けておられる患者様も、この指標を定期的に検査することにより、薬の効果が確認できます。
- *DEXA(デキサ)法とは
- 2種類のX線をあてて全身の骨量をはかります。もっとも正確な検査で、当院では、最新の機器を導入しています。
- X線検査 主に背骨のX線撮影によって、骨の状態、骨折の有無などを確認します。
血液検査 必要な場合には、血液検査で骨代謝マーカーを測定します。
骨密度測定の料金について
DEXA法(腰椎・大腿骨) | |
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1割負担 | 450円 |
2割負担 | 900円 |
3割負担 | 1,350円 |
採血(骨代謝マーカーなど) | |
1割負担 | 約1,000円 |
2割負担 | 約2,000円 |
3割負担 | 約3,000円 |
学会認定医による骨粗鬆症治療
日本骨粗鬆症学会認定医とは、国民が広く最適な骨粗鬆症に関する医療の享受を担保することを目的として、日本骨粗鬆症学会が認定した骨粗鬆症診療に関連する医学と医療の進歩に即応した能力を持ち専門的な治療を行う医師のことを言います。
当院では骨粗鬆症の専門知識をもった認定医が受診された患者さんの骨の状態をわかりやすく丁寧に説明し、きめ細やかな治療を行ってまいります。
当院での骨粗鬆症の検査は大学病院や大規模な総合病院で行っているのと同様に最新のDEXA法での全身型骨密度測定装置を導入し精密な検査を行っています。同時に骨を形成したり破壊するホルモンを血液検査によって測定し総合的に評価を行います。
検査の結果、骨粗鬆症の患者さんには食事・運動などの丁寧な生活指導を行い、個人個人の進行状況により薬物療法を行うことによって骨がもろくなって起こる骨折を予防いたします。
骨粗鬆症は早期発見と、薬による早期治療・予防が大切な病気です。したがって骨量が減ってしまう前に治療を始めることが大切です。特に女性は閉経を迎える50歳前後から骨量は減少し始めます。50歳になりましたら一度は骨粗しょう症の精密検査を受けるようお勧めいたします。
どうぞお気軽に受診ください。